「やまなし」の読解を進めています。今回は、作中に描かれている「対比」を探しました。これを論理的に捉えることで、作者の伝えたいことにも迫ることができます。どのような授業になったのか?記録していきます。
Q.対比を探そう
「やまなし」は「五月」と「十二月」の場面に分かれています。
基本的には、「五月」と「十二月」で対比を探すことができます。
中には「かにの兄」と「かにの弟」のように、同じ場面での対比を見つけることもできますが、焦点を絞るために、今回は「五月」と「十二月」の対比に限定しました。
ヒントになるのは、⑥時で描いたそれぞれの場面の絵や、⑦時でつくった「五月」と「十二月」それぞれの副題等です。
いきなり長文の中から対比を探すのは難しいのではないかということで、⑥⑦時の活動を入れたのです。
また、他の手立てとしては、教科書の本文をA3判用紙1枚に入植し直したプリントを用意し、子どもたちに配布していることです。
上段に「五月」、下段に「十二月」を書き直しているので、上下で比べながら対比を探しやすくなっているのではないかと思います。
私のクラスは、1学期から教科問わず何回も「対比」という視点で授業をしているので、「対比」への理解は高めです。
「対比」は、対義語や、両極にあるもの、に限りません。
白の対比は黒でなくてもいいのです。白の対比が赤や青でもいいのです。
2つのものに少しでも違いがあり、それを比べたときに何か発見があれば、それは「対比」と言えるのです。
対比:子どもの意見
子どもたちがどのような対比を見つけたのか、紹介します。
五月 ⇔ 十二月 で書いていきます。
クラムボン ⇔ やまなし
かわせみ ⇔ やまなし
五月 ⇔ 十二月
日光 ⇔ 月明かり
魚 ⇔ やまなし
かばの花 ⇔ 水晶のつぶ
小さいかに ⇔ 大きいかに
暗いあわ ⇔ 金雲母のかけら
鋼(青く暗い) ⇔ 炎(青白い)
かばの花 ⇔ やまなし
青く暗い ⇔ 青いほのお
光のあみ ⇔ 月
黒くとがっているもの ⇔ 黒い丸い大きなもの
水銀 ⇔ 黄金
暗く ⇔ 明るく
クラムボンブーム ⇔ あわ比べブーム
日光の黄金 ⇔ ラムネのびんの月光
夏 ⇔ 秋
世界観を言語化
一通りの対比が出揃ったところでまとめに入りました。
五月と十二月をまとめて対比すると?という発問です。
五月と十二月の世界観を、対比して言語化してもらいます。
子どもたちからは、
恐怖 ⇔ 楽しみ
激しさ ⇔ 落ち着き
等の意見が挙がりました。
その中に、
明るさ ⇔ 暗さ
という意見が出ました。
これは、暗さ ⇔ 明るさ でなくていいのか?と問いかけたところ、叙述をもとにした意見が帰ってきました。
「場面の様子では、夏の日中である五月の方が明るいが、雰囲気は殺伐としているため、暗いと言える」
納得の意見です。ここで、次回へ向けて「死と生」についても触れておきました。
T「死と生を対比として入れるなら、五月と十二月それぞれどちらに入るだろうか?」
子どもたちは頭を悩ませ始めました。自然と対話が生まれました。
次回、解決にたどり着くのか…?楽しみです。
まとめと感想
次回はついに研究授業。
主発問「題名が『やまなし』なのはなぜか?」
今まで集めてきたヒントや攻略法をフル活用して、この難題に向き合ってほしいと思っています。
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