小学校の国語で最も難解だとされる「やまなし」の授業。大人でも難しいですよね。教員にとっても難しい教材です。今回の記事では、やまなしの授業計画を記します。難解な物語を少しでも理解できるように、作者の想いを少しでも感じるために、論理的な授業計画を目指しました。
1次 感想・内容把握
1次では、課題確認と内容把握を行います。2次で行う「解釈」の準備的扱いです。
第1時 初発の感想
第1時では、初めて読んだ感想を共有します。
Googleフォームのアンケート機能で子どもたちに答えてもらいます。子どもたちの回答はスプレッドシートで一覧になるので、子ども同士でも誰がどのような感想を抱いたのかをリアルタイムで確認できます。
ちなみに本単元では、フォームに4つの質問項目を設けました。
①面白かったか? 「⑴面白くない」から「⑷とても面白い」の4段階で選択回答。
②①で答えた理由は?(記述)
③物語で不思議だと思ったことやよく分からなかったことは?(記述)
④物語を読んで、気付いたことや分かったことは?(記述)
(第1.5時)クラムボンとは何か?
指導計画には載せていませんが、「クラムボンとは何か?」について討論しました。
学者の意見の中から、妥当だと思うものを選び、討論します。
新たに自分の意見をつくって発表する人もいました。
第2時 意味調べ
私のクラスでは、読むことの単元で「意味調べ」を毎回やっています。
文章に出てくる言葉を国語辞典で調べて、ノートに言葉と意味を書いていきます。
第3時 音読
様々な方法で音読練習をします。マッハ読み、交互読み、丸読み(句点読み)、たけのこ読み等々…。
たけのこ読みは2パターン。
一つは他の人と被らないように指名なしで起立し、一人で読むパターン。
もう一つは、被ってもいいので自分が読みたいと思う部分を何回でも立って読むパターンです。
第4時 「イーハトーヴの夢」を読む
「やまなし」の作者である宮沢賢治の伝記「イーハトーヴの夢」を読みます。
「やまなし」読解のヒントを探します。
第5時 賢治像を探る
前時の続きで、宮沢賢治の人物像をまとめていきます。
賢治が望んだこと、賢治の生き方、「イーハトーヴの夢」を読んだ個人的な感想、を言語化し、共有する予定です。
第6時 「やまなし」内容把握
「やまなし」を2つの場面(五月と十二月)で分けて、それぞれの様子を絵や図に表します。
内容把握です。
色や位置関係に気を付けて読めると良いかなと思っています。
2次 精査・解釈
「やまなし」を解釈していきます。基本的に、発問や課題は教師の方から提示します。
第7時 副題をつける
第6時で行った物語を絵や図にしたものをもとに、「やまなし」に副題をつけます。
「やまなし ~○○と△△の物語~」の○○や△△をあてはめるイメージです。
第8時 対比を探す
第7時で行った副題をもとに、物語中に描かれる対比を探します。
かわせみとやまなし、恐怖と不安、黄金と虹、など、五月と十二月のそれぞれの世界観の違いを意識させたいところです。
第9時 題名「やまなし」を考える
題名が「やまなし」なのはなぜか?を考えます。
私は、ここに作者・宮沢賢治の想いが詰まっていると考えています。
第10時 主題を考える
主題とは、作者からのメッセージです。
私のクラスでは、「読者として物語から受け取ったメッセージ」として考えています。
賢治の意図を読み取れるかどうか?
これまでの学習のまとめ的立ち位置の授業です。
3次 意見形成・共有
今までの授業で学んだことや作品の主題をもとに、批評文を書きます。
第11時 批評文を書く
作品の構造や、話のつくり、主題等、わかったことをまとめた上で、自分の意見を書きます。
「要するに、この話は面白いのかどうか?」
授業で学んだことを生かして、批評文を書かせたいです。
第12時 批評文を読み合う
書いた批評文を読み合います。
作品の感想を伝え合ったり、語り合ったりする楽しさを味わってもらいたいです。
まとめ
市内の研究授業で行う予定の授業計画です。
難しい物語だけど、少しでも分かった気になれるような授業にしたいと思っています。
「面白くない」から「少し面白い」へ、「面白い」から「とても面白い」へ!
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