昔々ある所に、おじいさんとおばあさん「が」住んでいました。おじいさん「は」山へ芝刈りに、おばあさん「は」川へ洗濯に行きました。―――有名な冒頭ですね。これを「が」と「は」を入れ替えているのを聞いたことがありません。これをもとに、「が」と「は」について考えたことを記します。
新情報を付け加えるための「は」
明鏡国語辞典によると、格助詞「は」は、「新たに付け加える説明の前提となる部分につく」そうです。
桃太郎の冒頭2文目で言うところの「芝刈り」と「洗濯」が「新たに付け加えられる説明」です。
だから、これらの直前には「は」がついているわけです。
旧情報を主語にもつ「は」
また、格助詞「は」は、「旧情報や既知の情報」を主語にもつそうです。
桃太郎の冒頭1文目でおじいさんとおばあさんは登場しています。
だから、「芝刈り」と「洗濯」の説明が入る2文目では、おじいさんとおばあさんは「旧情報・既知の情報」ということになり、「は」がつくわけです。
対比の「は」
さらに、格助詞「は」には、対比を表す効果があるそうです。
桃太郎の冒頭では、「おじいさんは山へ芝刈りに」と「おばあさんは川へ洗濯に」が描かれています。
完全に「対比構造」です。
だから、それぞれに「が」ではなく「は」がついているんですね。
まとめ
私としては3つ目の理由「対比の『は』」が一番しっくりきた気がします。
ただ、辞書で「が」を調べても「は」程詳しく書かれていない状態でした。
今後、「が」の働きや効果が明記されてくれば、よりはっきりと使い分けがされていくかもしれませんね。
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