【社会】ビゴーの風刺絵5枚で読み解く明治~大正

6年生の社会科の授業。2学期最後の単元は「国力の充実を目指す日本と国際社会」でした。開国後、西洋に追いつき追い越さんとする日本は、諸外国からどのように見られていたのか? 画家であるビゴーの風刺絵をもとに、考えていきました。授業で使った5枚の風刺絵を解説します。

猿真似

開国後、西洋に追いつこうとする日本は多くの西洋文化を取り入れました。

明治の「文明開化」です。

しかし、そんな日本も、外国からは下の絵のように映っていたようです。

立派な西洋の服を着た日本人。しかし、鏡に映っているのは「猿」です。

「アジアの末端である小さな島国の人間が、西洋の真似事をしている!」

外に対して何も成していない日本がこのように思われるのは必然かもしれません。

帝国主義

ところが何年かすると、上のような風刺絵に変わります。

なんと日本人が地球の上に立っているのです!

しかも、手に持っている刀からは血が滴り、地球が浮かぶ海には頭蓋骨がぎっしり。

日本の「帝国主義」の力を示す1枚です。

「猿真似」から「帝国主義」に変化したきっかけは何か?

この主発問をもとに、単元を進めていきました。

日清戦争

日本の力を示すきっかけとなった「日清戦争」。

有名な風刺絵で、教科書にも載っています。

朝鮮という魚を手に入れようとする日本と中国。

そして、その様子を上から伺っているロシア。

結果、日本は中国(当時は清)に勝利。

多額の賠償金と、領地を手に入れました。

日露戦争

「日露戦争」も日本の力を示すきっかけとなっています。

屈強なロシアの軍人に刀を向ける日本。

その背中を押すのはイギリスです。(日英同盟)

結果、イギリスの協力もあって日本は日本海海戦で勝利します。

子どもたちはここで疑問に思います。

C「いちばん右側の人、まだ何もしてなくない?」

そうです。ここでアメリカの登場です。

日露戦争後に結んだポーツマス条約は、アメリカのポーツマスで結んだものです。

日本の勝利は認められましたが、賠償金を得ることはできませんでした。

アメリカの仲裁は必要だったのかを考えるきっかけになります。

ノルマントン号事件

最後の1枚はノルマントン号事件です。

時系列的には、日清戦争より前になりますが、条約改正の流れを一気に掴むために、後回しにしました。

船に乗るのはイギリス人。

海に浮かぶのは日本人です。

これは、日本が諸外国と結んだ「治外法権」による惨事です。

C「不平等条約を結んだのはアメリカじゃないの?」

その通り。

アメリカと日米修好通商条約を結んだあと、何も知らない日本はイギリス、オランダ、フランス、ロシアとも同じような条約を結んでしまったのです。

結果、起きたのがノルマントン号事件。

船の難破で投げ出された乗客を、イギリス人だけ助けた船長は、イギリスの法律で軽い罪に問われただけでした。

これは人種差別、大問題です。

きっかけとなった治外法権を撤廃する為に動いた陸奥宗光。

治外法権を認めた際、同時に失っていた関税自主権を回復する為に動いた小村寿太郎。

この2人は押さえてこの単元は大体が終了です。

まとめ

やはり社会は資料が大事です。

特にこんかいのような少し意味深な絵は子どもたちの興味津々です。

ちなみに今回扱った風刺絵はほとんど教科書に掲載されているものです。

2枚目の「帝国主義」だけは載っていませんでした。

興味を引く資料から授業を始める…。

私の授業の型としていきたいと思いました。

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