理科では「てこのはたらき」の授業をしています。てこの実験道具を使って「つり合い」のとれた状態をつくります。実験道具の右腕と左腕におもりをぶら下げるのです。その際のおもりの合計は3個にします。少ないし、奇数であることに子どもたちは疑問をもちます。この時の授業の様子を記録していきます。
単元計画を少し変更
この授業は、単元の1時間目です。
興味のわく実験をした方が良いのではないかと思い、1時間目につり合いの実験を行いました。
教科書では、物を持ち上げる実験や、支点・力点・作用点を学習を行ってから、つり合いの実験を行うことになっています。
さらに、この実験は、右腕を変えない条件、左腕を変える条件にして、傾きやつり合いの様子を記録していくという手順が示されていました。
しかし、それでは面白みに欠けると判断し、少し順番と内容を入れ替えてみたわけです。
授業の流れ
「つり合い」の理解
今回は1時間分の時間しかなかったので、少しの無駄も許されませんでした。
そこで、子どもたちが理科室に来る前に、最低限の情報は板書しておきました。
子どもたちの机には既に実験道具もおいてあります。
おもりを各班に2つずつ配りました。
「2つのおもりを使って、傾きのない状態をつくりましょう」
全ての班が、あっという間に解決しました。
その後、その状態を「つり合う」ということを板書し、ノートにも写させました。
課題提示
課題も穴埋めにして、黒板に書いておきました。
ポイントとなるのは、おもりの数です。
「先生はみんなに何個ずつ配ると思う?」
子どもたちは口々に「10個!」「20個!」「100個!」と言います。
「7個!」の声に対して、「奇数ではつり合いがとれないのでは?」と言う子もいました。
そこで私が説明します。
「いや、今回みんなに渡すのは3個だけです。3個をうまく使ってつり合う状態をつくってください」
子どもたちは、早速実験に取り掛かっていきます。
実験開始
子どもたちはどんどん実験していきます。
初めは闇雲に、調べているのでなかなかつり合いをつくれません。
ど真ん中(0のメモリ)におもりをぶら下げる班もあったので、「それはなし」と伝えました。
最初の1パターン目を見つけるのが難しいのです。
しかし、やっているうちに、だんだんと規則性に気付いていきます。
理科室のあちこちで、数式を言い合う声が聞えてきました。
私は班の間をぐるぐる回りながら、「つり合ってる!」「惜しい!」と声をかけるだけです。
ヒントの提示
7分程自由にやらせた後に、班ごとにいくつのパターンを見つけられたかを発表し合います。
6パターンの班もあれば10パターンも班もあったりと、ばらばらです。
ここで私からヒントを出します。
ヒントと言っても、パターンがいくつあるかを教えるだけです。
「全部で9パターンあります」
10パターン見つかったという班は、ここで重なりがないかを確認していきます。
既に9パターンを制覇していた班もあったので、さらに2つのおもりを渡し、合計5個のおもりでつり合いを作って待つように指示を出しました。
答え合わせ
ヒントを出してから5分程で、答え合わせに入りました。
「おもりは3個しかないので、1つと2つにわけるしかありません。1つの方を、中心から順にぶらせげていきましょう」
実験道具のメモリは内側から順に1,2,3,4,5,6となっています。
1にぶら下げてると、逆側のどこに2つのおもりをぶら下げてもつり合いません。
2にぶら下げたときは、逆側の1に2つぶら下げるとつり合います。
3にぶら下げたときは、逆側の1と2に1つずつぶら下げるとつり合います。
このように、内側から順に落ちや重なりがないように答えを提示していきました。
ちなみに答えは以下のようになります。
「わきお」
答え合わせをした後に、実験する中で気付いたことを言語化しておきました。
「考察」だと少し堅苦しくなってしまい、難しく考えてしまいそうだと思ったので「わきお」にしました。
「わきお」とは「わかったこと」「きづいたこと」「おもったこと」のことです。
内容としては「考察」と変わりません。
まずは自分の言葉でノートに書かせます。
難しいという児童も多かったので、書けた児童を指名し、黒板に書いてもらいました。
他の子は、それを見て真似したり、参考にしたりするわけです。
ノートに答えを書かせるときは、このような例示の仕方が有効です。
次時以降の予定
次の時間には、小さい力で重いものを持ち上げる実験をします。
支点・力点・作用点の仕組みについても押さえます。
さらに次の時間には、再度、今回の実験を行いながら、「つり合う」条件をスライドでまとめさせようと思っています。
3種類のつり合っている状態を写真に撮らせる予定です。
この単元は、子どもたちの活動が多く、さらに危険度も小さいので、授業がしやすいと感じています。
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